2013年7月8日月曜日

芸術表象論特講 # 6

こんにちは。近くの公園の時計から流れる「茶摘み」のメロディを聞きながら、ブログをチェックしています。

6月19日におこなわれました、「芸術表象論特講」6回目のレクチャーについて少し報告したいと思います。

今回のゲストは、株式会社fevの上平築さん(代表取締役)と原田晋さんでした。





fevは「心がつながる場をデザインする」をコンセプトとしているデザイン事務所です。様々なツール(グラフィック・web・映像・システム構築)を使用して、依頼主の手助けをします。このfevが、「クリエイター志望の学生の就労支援」として立上げたプロジェクト「てにをは デザインプロジェクト」(以下、「てにをは」)を、昨年試験的に女子美でおこないました。

実は原田さんは、2年前まで女子美術大学大学院GPプログラム(http://www.joshibi.net/outreach/gsgp/)のスタッフとして働いていました。
その後fevに入社。女子美とのつながりがあった原田さんがいたことで、「てにをは」を試験的におこなうことになりました。

「てにをは」は、「クリエイター志望の学生が、NPOの広報物を制作することにより、学生の就労を支援とともに、NPOの社会貢献活動をサポートしていくプロジェクト」です。

学生をという側面は、23年前に新卒の募集をしたところ500人の応募があり、その選考の中で、会社側が見たいと思う制作実績がなかったことがきっかけだったと言います。どちらかと言えば、アート的なものが多く、会社としては見てもわからない、その人がはたいしてどういったものが作れるのか、どんな強みがあるのかがわからなかったそうです。学生のうちに、制作実績を作っていれば、就職できた人もいるかもしれない・・・そういう思いがあったそうです。

なぜ、NPOなのか。

以前、事務所をシェアしていたバリューブックス(http://www.value-books.jp/ 古本を買取り、Amazonなどでそれを売ることで、売上金の一部をNPOに寄付するなど、古本の利用を考える会社)の代表の方が、長野県にある認定NPO法人「侍学園 http://www.samugaku.com/」(ひきこもりの子を社会復帰できるよう支援する団体)の理事長が高校の教員をしていたときの生徒らしく、そのつながりで、NPOを初めて知ったそうです。上平さんは当時、バリューブックスの役員として関わっており、自社でも何かしようかなというのがきっかけで、NPOとの接点を増やしていかれたそうです。

デザイン会社に就職したい学生は商業実績がないに等しく、就職できないことが多い。NPOは、お金がなくスタッフも少ないとなると広報に力を入れにくくなる。この2つを橋渡しすれば、それぞれが欲しいものが手に入るということで、デザインのプロジェクトを立ち上げたそうです。

「てにをは」の作業は、約1年ほどおこなわれました。1ヶ月に1度のペースで上平さんと原田さんが学校へ来てくださり、学生たちと作業を進めていきました。作業内容としては、fevが普段おこなっている作業の基本的な3つのこと(1.目的はなにか、2.ターゲットは誰か、3.そこから導き出されるコンセプト)を実施、コンセプトシートを制作し、依頼主にプレゼンテーション、OKが出たら実作し始める、つまりはインターンと同じことをしてもらいました。

レクチャー当日は、実際に関わった学生2名にも来てもらい、話をしてもらいました。
学生は2人ともデザイン科ではなく絵画科のため、考え方などいろいろと苦戦したとのことでした。作業の後半は、NPOの「キズキ共育塾(http://kizuki.or.jp/)」(なんらかの事情で学校をやめたり、行かなくなったという学生の、もう一度学びたいという思いを支援し、大学進学までサポートしてくれる学習塾)の卒業式をプロデュースし、3月に女子美の杉並校舎で開催しました。会場の装飾や、プロモーションビデオの作成を通して、多くのものを得たようでした。※2人は、来年の春からfevの一員として働くことになりました。


「てにをは」の他に、上平さんと原田さんの仕事以外のお話もしてくださいました。

アーティストでもある原田さん。USTREAMでアート番組を放送する「comos-tv http://comos-tv.com/)」等、さまざまな活動をしているそうです。アート活動は、仕事とは切り離しはするが、常に隣にある。どちらにもリンク、アンテナを巡らすことで色々な形で、人と人とを「より面白く」繋げることが出来るのではないかと考えられているそうです。

上平さんは、7月に事務所のミーティングスペースを使い、人生をエフェクトするエフェクター専門店「TOKYO EFFRCTORhttp://tokyo-effector.jp/)」をオープンさせるそうです。もともと、学生時代はバンドをし、最初に就職した先も楽器屋さんだったそうです。楽器屋の概念を覆そうと思っていると意気込んでいました。

学校は小さな世界です。しかし、私たちが生きる世界はもっと広い。それは学校を出て、仕事を始めると嫌でもわかってくることです。「てにをは」はもっと前からそれを自覚させ、経験を積ませてくれる、そんな場所なのかもしれません。


株式会社fev
http://www.fevinc.jp/



それでは。

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